意識的になのか無意識なのか定かではないが、京都でのイベントに出かける機会が続く。
以前から従兄弟のS氏に誘われて楽しみにしていたこの「芳垣安洋×山本精一 ナンバジャズ」。
イベントが行われたのは、昨日で場所はCOCON KARASUMAという建物の3Fにある「『新しい美』『新しいヴィジョン』を提案する、今までにないアートスペース。」をコンセプトとしたshinbi-biのイベント会場(どちらかというとコンサート会場というよりはギャラリーです。)でした。
そのコンサート会場のステージ正面には、徐に、机の上に置かれた瓢箪。その上には、彼の鴨長明による方丈記の冒頭部分「ゆく河の流れは絶えずして、しかも、もとの水にあらず。淀みに浮かぶうたかたは、かつ消え、かつ結びて、久しくとどまりたる例なし。」このコンサートを象徴するかのようなオブジェ。
そして、そこに流れる空気は1970-80年代に京大西部講堂などにあった独特のあの雰囲気。それもそのはず、ギターの山本精一氏はあの伝説的なパンクバンドAunt Sally(西部講堂でのXTCライブ前座でした。)のPhewなどと活動するというキャリアの持ち主でもあるのです。
一方で、芳垣安洋氏は、山下洋輔氏、坂田明氏を始め巻上公一氏、カルメン・マキ氏等様々なミュージシャンと共演。その他、維新派、蜷川幸雄演出「マクベス」、文学座「アラビアンナイト」などの演劇や相米慎二、クリストファー・ドイルらの映画音楽制作にも携わるという多彩なキャリアを持った関西出身のドラマーです。
その二人が奏でる音楽は、勿論インプロヴィゼーションな訳ですが、特筆すべきなのは芳垣安洋氏のドラムを使って出せる音への試みでした。ドラムペダルのスプリングを引っ掻いて効果音にしてみたり、挙げ句の果てには自分のポケットから小銭を出してスネアドラムの上に置いてそのままスネアドラムをたたいてみたりと奇想天外な「ドラムで出せる音」への執念には負けました。
それにしても、やっぱり好きです。インプロヴィゼーション。
その時々の偶然性を味方とし、果敢に唯一無二の音を探し求めるインプロヴァイザー達。
芳垣安洋×山本精一両氏はこの夜二人が持つインプロヴァイザーとしての良質な音を熱く展開してくれました。
これからのスケジュールとして、5月にはフランスでの大友良英氏とのコンサートも決定しているようです。
両氏の益々の活躍を楽しみにしたいと思います。
Archive for 4月, 2008
芳垣安洋×山本精一 ナンバジャズ in 京都
京都に蘇った貴志康一
これからの活躍が期待されていたのにもかかわらず1937年に28歳の若さで心臓麻痺のためその生涯を閉じたという音楽家、大阪府吹田市出身その後芦屋市にも居住した貴志康一氏。彼が作曲した作品は1949年日本人として初めて湯川秀樹氏がノーベル賞を受賞したその後の晩餐会で楽曲が流れるという栄誉を持つ。その様な、間もなく生誕100周年を迎える同氏の音楽が京都の「ちおん舎」という所謂伝統的京町家にてRootsというヴァイオリンとアコースティックギターのユニットにより再現されたその現場を目の当たりにする。(写真右は会場内の額装された墨蹟)
20年以上のお付き合いであるNさんに招待されて行ったこのコンサートは、私にとってとても不思議な因縁を感じるコンサートでもありました。
Rootsによる演奏は、アイルランド、スコットランドの楽曲から始まりました。もともとケルト人による音楽の大好きな私にとっては、それだけでも血が騒ぎます。そして、1部が終わり第二部の貴志康一氏の代表的な名曲である「竹取物語」「月」を続けて演奏。ヴァイオリンの平野有希氏は、どこか戯けた表情を持つフィドルの音を着替えて(衣装もドレスに替えられて)の素晴らしい編曲による楽曲を聴かせてくれました。ギターの天満俊秀氏は「もともとオーケストラを想定して作曲された楽曲をギターで演奏するには音が足りないというような、自分では納得がいかない事にたびたび遭遇し、約1年半を掛けて自分のオリジナル作品を手がける暇もないぐらいに貴志康一氏の作品群を編曲する事に集中しました。」曲の合間にこの様な逸話を語ってくれました。同氏によるとピアノなどで演奏されているどうしても出ない音を出すために独自のチューニングを編み出す必要があったとその苦労を述べられていました。そして、最後には彼の名曲Amazing Grace。この曲は、てっきり黒人精霊歌とばかり思っていましたが実はそのルートがアイルランド、スコットランドにあるとギターの天満俊秀氏はほぼ断言されていました。(実際には作曲者は不詳で色々な説があるとのことです。)
あれは、中学の時だったのでしょうかそれとも高校の時だったのでしょうか? I先生の音楽の授業で鑑賞した貴志康一氏の旋律を忘れていなかったことは私にとって大きな驚きでしたし、素晴らしい音楽とは人の脳裏に残るものであると実感しながら故郷を去ったのでした。
The Market Common, Myrtle Beach完成
このブログで昨年10月17日のエントリーで紹介していたSouth CarolinaはMyrtle Beachの総合商業施設The Market Commonが完成したとの報告が先日の「桜のブログエントリー見たよ。」とのメッセージと共に日本から離れて15年経つ盟友Jimからありました。(写真右は、工事中だったThe Market Common, Myrtle Beachの現場)
「オープン以来大成功を収めている。」との彼の言葉に安堵し喜びを分かち合いました。
そして、彼が次に向かうのはシカゴ。この新規プロジェクトを昨年彼の自宅へ訪問した際「ここが、次の開発地だ。」と次のプロジェクトであるSouthworks Chicago, ILをGoogle Earthを使って教えてくれました。巨大なプロジェクトです。
ここで謹んで、彼のThe Market Common, Myrtle Beach完成へのお祝いの気持ちを伝えると同時に、新規プロジェクトが無事完成するよう幸運を祈りたいと思います。
進化し続ける神保彰
Newsweek日本版「『世界が尊敬する日本人』100人」にも選ばれ、また、あのTerry Bozzioをして「日本に神保あり」と言わしめた、凄腕ドラマー神保彰氏のライブ「神保彰ワンマンオーケストラドラムからくり全国行脚2008」を昨日阪急六甲駅から徒歩0秒のライブハウスMaiden Voyageへ見に行く機会に恵まれました。
客層は、小学生の子供もチラホラ。とても幅広い年齢層の純粋に音楽が好きな人達が集まるという神保彰氏の人柄と音楽性を反映した雰囲気の中で行われたライブでした。
選曲は、そのような客層を意識してか誰もが知っているEarth, Wind & Fire, Deep Purple, Led Zeppelin, Jimi Hendrix, Queenなどの往年のヒット曲メドレーから始まり、Eric Satiの"1ère Gymnopédie, Lent et douloureux"、Ludwig van Beethovenの第九、Richard Georg Straussの"Also sprach Zarathustra"(「ツァラトゥストラはかく語りき」- 映画「2001年宇宙の旅」の冒頭部分で第1部「導入部」が使われてました。)等のクラッシックへ対する同氏の造詣を感じるメドレー。
そして、事前に「私が10代で一番影響を受けた。」と前置きをした後に、かのWeather Reportのメドレー。言うまでもなく、同氏が一番活き活きと演奏をされていたのはこのWeather Reportのメドレーでした。

この様な、ご本人も「コンセプトは薄利多売です」などとギャグを飛ばす数多くの楽曲メドレーを目の当たりにして頭に浮かんだのは、クロスオーバー(忘れてましたこの言葉)やフュージョンというここ暫くご無沙汰していたキーワードでした。ジャズを基調にロックやファンク、R&B、電子音楽、ワールドミュージックなどを融合(フューズ)させた音楽のジャンルがフュージョンという風に言われているようですが、厳密な定義はないと思います。ただ、日本においてこのフュージョンという音楽があるとすれば、神保彰氏はその中での立役者であることは疑う余地がありませんし、現在進行形でフュージョンを牽引されている原動力の一人です。
昨日の全国82カ所で行われるという「神保彰ワンマンオーケストラドラムからくり全国行脚2008」でのパフォーマンスもさることながら、「HMVのフュージョン 音楽ランキングでトップになりました。」と自らが紹介された"Get Up!"という作品は、益々円熟味を増したシャープなドラミングは勿論、個性豊かなセッションミュージシャンと共に神保彰の世界を確立した会心の名作に仕上がっています。

