2008年5月17日10:04 PM
コンサート会場内の明かりが点灯されたにもかかわらず、鳴りやまない満場の歓声。Sonny Rollinsと彼が率いる5人のメンバーは再び演奏を開始した。
コンサート終了を意味するライトアップの後にアンコールに応えるアーティストを見たのは今まで数多く行ったコンサートでも数えるほどだ。魂の籠もった緊張感溢れる演奏に大阪フェスティバルホールの観客が熱く応えた。
コンサートは、彼の最新作"Sonny, Please"の一曲目タイトル曲でもある"SONNY, PLEASE"から始まる。驚いたことに比較的アップテンポのこの曲でベーシストのBob Cranshawは1つの音を一定のリズムで約30分刻み続けた。この間バンドメンバー達はSonny Rollinsが探し求める音にインスパイヤーされ秀逸なアンサンブルを奏でる1つのバンドに集約されていく。
ドラマーのKobie Watkinsは、目が最初から最後まで真剣そのもの。一曲目の"Sonny, Please"のみマッチドグリップで演奏するが、それ以外の曲は全てレギュラーグリップでの演奏。そのレギュラーグリップのスティック捌きは美しく、まるでスネアドラムの上を羽が舞うようであった。私がこよなくSonny Rollinsを愛するのは彼がドラムとのアンサンブルをとても大切にするからなのだろうか?Sonny Rollinsが演奏したサックスの約四分の一は観客を向いてではなくドラマーであるKobie Watkinsを向いて吹かれていた。改めて教えられたような気がする。リズムとメロディーが見事に融和したときに真の調和が生まれると言うことを。
"Park Palace Parade"は、彼の最新作"Sonny, Please"に収録されたゆるいラテンナンバーだ。演奏されたこの曲には、達観した彼が持つ独自の境地を見出すことが出来た。
しかし、彼は言う「私は、自分自身に満足することがないんだ。」と。
Sonny Rollinsのテナーサックスは、いつも気迫と情熱をもって私達に語りかけてくれる。Jazzが、そしてひいては音楽が如何に尊いものであるかを。