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こぼん ずるいことは嫌いなんだ! 吉村喜彦 著

22 5月

2012年5月22日11:12 PM

こぼん 吉村喜彦

5月15日、小説『こぼん』が、PHP文芸文庫になりました。

常日頃よりお世話になっている吉村喜彦さんの作品『マスター。ウイスキーください──日本列島バーの旅』 をこのブログで御紹介させていただいてからもうかれこれ、1年以上前になります。

それまで、手つかずだった吉村さんの代表作『ビア・ボーイ』を昨年、PHP文芸文庫になった機会に読ませていただきました。

最後の方に登場する、今は存在しない新幹線の二階建て食堂車の描写が何とも言えず郷愁を誘いました。

その昔、まだサラリーマンだった頃、年末の混雑時か何かでどの客席も満員でやむを得ず食堂車二階へ直行し取り敢えず座ると、同じような境遇のオヤジさんがおり、意気投合して飲みだし、気がつくと名古屋あたりで完全に出来上がってた!みたいなことを思い出したりもしました。

そんな『ビア・ボーイ』は、自分自身が闇雲に仕事をしていた時の組織や人間関係そんな事が走馬燈のように浮かぶ秀逸な作品でした。

そして、満を持してPHP文芸文庫として登場したのがこの「こぼん」です。


デブで、カナヅチ、オネッショたれの
小学6年生の「こぼん」ちゃんが主人公。
舞台は、1966年、ビートルズが日本にやってきた年の大阪湾岸の町です。

東京生まれの母の影響で大阪弁がうまくしゃべれない「こぼん」は、
大阪でいじめられています。
そんな「こぼん」の味方は、転校してきた沖縄人と在日コリアンの友だち。

淡い初恋、性の目覚め。ライバルは地元の金持ち息子。
破壊されていく大阪の自然・・・。
そのなかで忘れ去られていく、人として生きるために大切なたましいのこと・・・。

泳げない「こぼん」は、なぜか水泳大会の選手にえらばれ、
夏休み最後の日、ライバルと対決するはめに・・・。

音楽が、神様と人とをつなぐことや、
神様は自然に宿っていること。
みずみずしい心が世界を変えていくこと。

そんなこんなを、「こぼん」は考えて、成長していきます。

今回の文庫化で吉村さんは2000年に出版された単行本を今回、大幅に書き直されたとの事です。解説は私がその昔大好きで、愛読していた『わしらは怪しい探険隊』等の著者であられる椎名誠さんが書かれています。

また、この『こぼん』は、2002年度の山口県と茨城県で公立高校の国語の試験問題に採用され、その後、ベネッセやZ会、数研出版などの国語問題集に掲載されているとのことです。

あっという間に読めてしまった『ビア・ボーイ』と同じように、読み始めたら、物語に引き込まれてあっという間に読めてしまうこと請け合いです。

現在、吉村さんは、NHK-FM「音楽遊覧飛行」に出演されており、食べ物・飲み物などをテーマに話をされそれに合わせた音楽をかけられています。

6月7日は「ウィスキー」のテーマでザ・バンドをかけられるとのこと。今から、楽しみです。


NHK-FM「音楽遊覧飛行」
6月の放送日は、6月4日~7日(月~木)9:20~10:00
再放送は、6月11~14日(月~木)17:20~18:00
6月のテーマは「麦」。月曜はパン、火曜はビール、水曜はパスタ&麺類、木曜はウイスキーの話をします。

 
 

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